建設業許可を解説 第5回/許可区分について

許可の区分には「国土交通大臣許可」と「都道府県知事許可」、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があります。同一の建設業者が大臣許可と知事許可の両方の許可を取得することはできず、また、同一の業種について一般建設業許可と特定建設業許可の両方の許可を取得することはできません。

建設業の許可を取得する場合、大臣許可か知事許可のいずれか一方の許可を、かつ、申請する業種について一般建設業許可か特定建設業許可のいずれか一方を選ばなければなりません。言い換えると、同一の申請者が大臣許可と知事許可を同時に取得することはできません。また、1つの業種について一般建設業許可と特定建設業許可を同時に取得することもできません。

ただし、たとえば土木工事業は特定建設業許可、電気工事業は一般建設業許可というように、2つ以上の業種を申請する場合は、一般建設業許可と特定建設業許可を同一の申請者が取得することは可能です。

まとめると、次のような分類ができます。

A 「大臣許可」の「特定建設業許可」
B 「大臣許可」の「一般建設業許可」
C 「知事許可」の「特定建設業許可」
D 「知事許可」の「一般建設業許可」

A 「大臣許可」の「特定建設業」

建設業を営む営業所が都道府県をまたいで複数あり、更に元請業者として、1件の工事あたりの下請発注金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる可能性がある場合には、この「大臣許可」+「特定建設業」を選択することになります。各地方全域、日本全域を営業エリアにする施工業者や、主に工事監理等をメインに広い商圏で営業展開する事業者向けの類型と言えると思います。

大臣許可を取得する場合には都道府県をまたいで複数の営業所があること、特定建設業の場合には資産要件と専任技術者の要件に加重があることから、「大臣許可」+「特定建設業」は最もハードルが高い種類になります。

新規申請時から「大臣許可」+「特定建設業」に社内体制が届かない場合には、ひとまず「大臣許可」の「一般建設業」や「県知事許可」の「特定建設業」を取得した上で、次のステップとして「大臣許可」+「特定建設業」を目指すということも可能です。

B 「大臣許可」の「一般建設業」

建設業を営む営業所が都道府県をまたいで複数あり、更に元請業者として、1件の工事あたりの下請発注金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる見込みがない、あるいは元請業者であっても、工事のほとんどを自社施工するという場合には、この「大臣許可」+「一般建設業」を選択することになります。営業エリアが広域にまたがる施工業者や、地方に本社があり首都圏などに支店を設けて商圏を広げていきたい事業者向けの類型と言えます。

専任技術者の配置に関する要件は、特定建設業より若干緩やかになるので、「大臣許可」+「特定建設業」に進む前のステップとして、この「大臣許可」+「一般建設業」を取得するケースも多いです。

C 「知事許可」の「特定建設業」

建設業を営む営業所が1つの都道府県の中だけにあり、1件の工事あたりの下請発注金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる
可能性がある場合には、この「知事許可」+「特定建設業」を選択することになります。なお、1つの都道府県の中に複数の営業所がある場合でも、知事許可を取得することになります。

地域に根ざした元請業者、今後大規模工事を元請で契約する見込みがある事業者向けの類型です。

D 「知事許可」の「一般建設業」

建設業を営む営業所が1つの都道府県の中だけにあり、更に元請業者として、1件の工事あたりの下請発注金額が4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上になる見込みがない、あるいは元請業者であっても、工事のほとんどを自社施工するという場合には、この「知事許可」+「一般建設業」を
選択することになります。私たちがご相談を受ける中で一番多い類型がこの「知事許可」+「一般建設業」です。

最もスタンダードで基礎的な類型と言えると思います。

大臣許可や特定建設業は要件のハードルが高いため、最初は「知事許可」+「一般建設業」を取得し、会社の成長や職員さんの整備などにより次のステップを目指すほうが、建設業許可取得までのハードルは下がるかもしれませんし、そもそも会社さんの事業内容によっては、この「知事許可」+「一般建設業」だけで十分で、これ以上の類型は必要ないというケースの方が多いかもしれません。

同一の事業者が、1つの業種について一般と特定両方の許可を受けることはできませんし、同一の事業者が一部の業種を大臣許可、他の業種を県知事許可という受け方をすることもできません。この部分は理解するのが少し難しいところですが、自社の状況に照らし合わせて、A~Dのうちから区分を選ぶ目安を立てていただければと思います。

第6回では「大臣許可と知事許可の違い」について、第7回では「一般建設業許可と特定建設業許可の違い」について解説させていただきます。

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