建設業許可を解説 第22回/専任技術者の実務経験とは
一般の建設業許可において、許可を受けようとする業種について高校の所定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者、大学の所定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者、または10年以上の実務経験を有する者は、許可要件の1つである営業所ごとに置く「専任技術者」となる資格を有します。
実務経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係る経験期間を積み上げ合算して得た期間とされています。さらに、電気工事および消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備士免状などの交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状などの交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入し、建設リサイクル法施工後の解体工事に係る経験は、とび・土木工事業許可または建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請負ったものに限り経験期間に算入することとされています。
なお、一部の業種については許可を受けようとする業種について8年を超える実務経験と、その他の業種の実務経験を合算して12年以上あれば、営業所ごとに置く「専任技術者」となる資格を有することができます。(実務経験の要件緩和)
<実務経験の要件緩和を認める業種の範囲>
許可を受けようとする業種について8年を超える実務経験と、その他の業種の実務経験を合算して12年以上あれば、専任技術者の資格を得ることができます。具体的には、次のABCDの4パターンについて実務経験の振り替えが認められます。
A:「とび・土工・コンクリート」「しゅんせつ」「水道施設」工事業
土木一式工事業と申請業種の実務経験を合算して12年以上有し、申請業種の実務経験8年を超える場合
土木一式 → とび・土工・コンクリート、しゅんせつ、水道施設
B:「大工」「内装仕上げ」工事業
建築一式工事業と申請業種の実務経験を合算して12年以上有し、申請業種の実務経験8年を超える場合、および大工工事業または内装仕上げ工事業の実務経験と合算して12年以上有し、申請業種の実務経験8年を超える場合
建築一式 → 大工、内装仕上
大工 ↔ 内装仕上
C:「屋根」「ガラス」「防水」「熱絶縁」工事
建築一式工事業と申請業種の実務経験を合算して12年以上有し、申請業種の実務経験8年を超える場合
建築一式 → 屋根、ガラス、防水、熱絶縁
D:「解体」工事
土木一式工事業、建築一式工事業またはとび・土木・コンクリート工事業と解体工事業の実務経験を合算して12年以上有し、解体工事の実務経験8年を超える場合
土木一式、建築一式、とび・土工・コンクリート → 解体
※矢印の方向に向かってのみ振替えが可能
<法施行前後のとび・土工工事および解体工事業の実務経験年数の取扱い>
2016年6月1日より、「とび・土木・コンクリート工事業」から「解体工事業」が分離独立する形で追加されました。ここでは、2016年5月31日までの「とび・土木・コンクリート事業」を「旧とび・土木工事」と、2016年6月1日からの「とび・土工・コンクリート工事業を「新とび・土工工事」として説明します。
原則、同一の者が複数業種の実務経験を証明する場合、実務経験期間の重複は認められません。例外として、実務経験の緩和による場合が規定されていました。さらに2014年改正法の関係で、2016年5月31日に請負った旧とび・土工工事の実績での実務経験に限り、同期間中に解体工事の実績がある場合、実務経験期間が重複しても計上が可能となります。
解体工事業の実務経験年数は、旧とび・土工工事業の実務経験年数のうち解体工事業に係る実務経験年数となります。原則として解体工事業の実務経験年数の算出については、請負契約書などを確認して解体工事業の実務経験年数を算出します。その際、1つの契約書で解体工事業以外の工事もあわせて請負っているものについても、解体工事業の実務経験の証明に使うことができます。
なお、提出先である都道府県担当部局によっては、旧とび・土工工事業の許可事業者が、すでに提出している変更届出書(決算報告)に添付した工事経歴書で、明らかに解体工事業を期間分行っていることが確認できる場合は、確認資料を免除するなどの方法をとることもあります。
新とび・土木工事業の実務経験年数は、旧とび・土木工事業のすべての実務経験年数となります。
<法施行前後の解体工事の専任技術者のみなし規定>
2016年6月1日から2021年3月31日までの間は、とび・土木工事業の技術者(既存の者に限る)も解体工事業の技術者とみなされます。つまり、解体工事業の実務経験がない場合でも、10年以上のとび・土工工事業の実務経験があれば、解体工事業の専任技術者となれます。ただし、2021年3月31日までに10年(要件緩和による場合は8年)以上の解体工事業の実務経験がなければ、2021年4月1日に許可が失効します。
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