建設業許可を解説 第1回/建設業許可はなぜ必要か?

建設業許可は、建設工事の適正な施工の確保と発注者の保護を最大の目的としています。

建設業法は、不適正な建設業者から発注者を守るために制定され、この目的を実現するために建設業は許可制となりました。

家を建てる、駐車場を造るといった場合、一定以上の工事を施工するにあたって「建設業許可」を取得しなければなりません。建設業許可は、一定の技術的な資格や財産的基礎を備えた者に、国や都道府県が建設業を営む許可を与える制度です。

建築物や土木工作物に、手抜き工事や粗雑工事などがあっても、完成後すぐにはわかりません。何年か経たなければ、発注者は使用に耐えるものか否か判断できないので、工事を発注する前に、一定の基準を満たしている施工業者を選び、手抜き工事などを未然に防ぐ必要があります。

まず、このために建設業許可があるわけです。許可要件の中の営業所ごとに置く「専任技術者」によって、技術力のあることが確かめられます。一定の資格や経験のある人しか「専任技術者」になれないため、適性な施工が確保されます。建設業法では、専任技術者と同等の技術力のある配置技術者を現場ごとに置くことを義務付けるとともに、技術検定制度を設け、施工技術の確保と向上を図っています。

また、建設中または完成後に、施工業者が倒産してしまったらどうでしょうか。通常、家を建築する場合、施工業者と請負契約を結ぶと、ます手付金を、施工中には中間金を、完成後に残金を支払ことになります。しかし、手付金、中間金を支払ったからといって、必ずしも施工が完了するかどうかわかりません。また、完成後、不具合が生じ、手直ししてもらおうとしても、施工業者が倒産していてはそうもいきません。

このような事態を未然に防ぎ、発注者を保護するために建設業許可があるわけです。許可要件の中の「財産的基礎」がそれです。同じように「経営業務の管理責任者」もそれにあたります。ある一定以上の資産があり、建設業の経営経験が一定期間以上ないと許可は取得できないので、発注者も安心して工事を任せることができます。

そのほか、建設業法は、適性な請負契約の義務付づけなどによる下請業者の保護、建設工事紛争審査会の設置、建設業の経営事項審査、建設業および建設業団体に対する指導監督制度など、さまざまな形で建設工事の適正な施工の確保、発注者の保護、建設業の健全な発達を促しています。

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